土地家屋調査士の問い合わせと現地調査の日程を、AIで軽くするとは
土地家屋調査士事務所でのAI活用とは、表示登記ができるかの判断、申請の中身、筆界(土地の境目)についての見解、報酬の見積もりという有資格者だけの仕事を本人の手に残したまま、「どの登記に近い依頼か」「いつまでに済ませたいか」「どこへ折り返せばよいか」を聞き取り、現地調査や立会いの候補日を整え、手続きごとに決めておいた必要書類の定型案内を返すところまでを仕組みに持たせることです。
なぜ土地家屋調査士の事務所では、期限つきの依頼が現場に出ている間に届くのか
土地家屋調査士の仕事は現地に出て一日がかりの調査になりやすく、その事務所が無人になる時間に、期限の決まった依頼や急ぎの相談が集まるからです。
建物の大きさを測る、土地の境界を確かめる、地目の変わった現況を見る——どれも機器を据えて一日仕事になり、その間は事務所が留守で電話に出られません。やっかいなのは、届く依頼の多くに日付がついていることです。建物を新築したら原則1か月以内に表題登記を申請する義務があり、住宅ローンの実行や売買決済に間に合わせたい急ぎもある。こうした期限つきの依頼が、調査士が現場に出ている最中に留守電やメールへ積もり、相見積もりも多いので折り返しが遅れれば他社へ流れます。戻れば今度は、建物図面や地積測量図と申請書類の作成が待っています。
測量会社や司法書士事務所とは、何が違うのか
同じ土地や建物を扱っても、土地家屋調査士が担うのは登記のための調査と「表示部」の登記申請で、測量だけを請ける測量会社とも、名義や抵当権という「権利部」を扱う司法書士とも領分が分かれます。
現況測量や公共測量が主で登記申請を伴わない測量は測量会社の領分で、その受け方は測量業の見積もり・書類作成をAIで軽くするに書いた通り、これとは別に考えます。所有権の移転や抵当権の設定といった権利部の登記は司法書士の仕事で、司法書士事務所の問い合わせと来所予約をAIで軽くするで扱いました。これとも別です。土地家屋調査士が扱うのは不動産の物理的な状況を映す表示部——建物の表題登記や滅失登記、土地の分筆や合筆、地目変更で、そのための現地調査と申請の日程が軸になります。境界の立会いも入りますが、ここでは登記に必要な調査の一部として日程を預かる範囲だけを見ます。依頼者は三者を取り違えて連絡してくることもあるので、一次受けで「どの登記に近い話か」を先に聞きます。
一次受けと有資格者の仕事は、どこで線を引くのか
線は「聞いて並べる」と「判断して答える」のあいだに引きます。
この建物や土地が表示登記できるか、どの手続きを取るべきか、筆界をどう見るか、いくらで請けるか。ここは法律で資格者に限られた仕事で、AIには一切させません。AIが持つのは、相談の種類と急ぎ具合と連絡先の聞き取り、現地調査や立会いの希望日時の預かり、事務所が決めておいた必要書類の案内文を返すことまで。案内文にないことを聞かれたら、答えを作らず本人の折り返しに切り替えます。もうひとつの配慮が守秘です。依頼には所有者の氏名や住所、地番、身分の確認書類、既存の図面といった機微がついてきます。文字の窓口で聞くのは用件の種類と連絡先まで、地番や図面や込み入った事情は資格者が面談で確認する。どこまでをAIに渡し、どこからを資格者だけが見るか、この線を最初に引きます。
AI従業員に任せられる業務の例
調査士が現地に出ている間に届いた依頼を、戻るまで消さずに預かる。任せるのはその役です。
- 一次相談の用件と連絡先の聞き取り:留守番電話・メール・フォーム・LINEに届いた相談を、表題登記・滅失登記・分筆・地目変更のどれに近いか、いつまでに済ませたいかで一覧へ並べる
- 現地調査・立会いの候補日調整の下ごしらえ:希望日を二つか三つ預かり、調査士が予定を見てひとつ選べば返事になる形に整える。確定は本人
- 必要書類の定型案内:手続きごとに決めておいた「一般的に用意する書類」の案内文を返す。「この案件で何が要るか」の判断はしない
- 申請の進捗の一次案内:本人が更新した範囲で「今どの段階か」を返す。完了時期や登記の可否の見通しは本人
- 未対応の洗い出し:返事待ち・未着手を並べ、期限のある依頼を先頭に置いて抜けを防ぐ
一覧を見た土地家屋調査士が登記の可否と申請の中身と報酬を決め、AIは表を埋めるところで止まります。仕組みの全体像はAI従業員のサービス紹介にまとめてあります。
導入の流れ
一件目は、現地調査中に取りこぼした新規相談の受け止めか、現地調査・立会いの日程調整のどちらか。両方いっぺんに始めず、片方を選びます。
依頼者が今使っている電話番号やメール、LINEはそのまま残し、窓口を増やしも替えもしません。必要書類の案内文は、ふだん口頭で説明している内容を15〜30分で書き出してもらい、そのまま使います。最初の2〜14日ほど回すうちに、聞き漏れやすい項目と案内文に足りない一言が見えてくるので、そこで聞く順番と文面を御社の言葉に寄せていきます。
よくある質問
現地に出ていて電話に出られません。電話もAIが取ってくれますか。
受話器の向こうでAIが喋る仕組みは入れません。電話は人が取るか留守番電話で受け、その吹き込みをAIが文字に起こして、メールやフォーム、LINEの相談と同じ一覧に並べます。
「この建物、登記できますか」と聞かれたら、AIが答えてしまいませんか。
答えません。登記できるか、どの手続きを取るか、筆界をどう見るか、いくらで請けるかは、調査士本人の判断です。AIが返すのは、手続きごとに一般的に用意する書類の一覧と面談までの流れという、先に決めた案内文だけです。
依頼人の登記情報や図面など、機微な情報は守れますか。
一次受けで聞く項目を、用件の種類と急ぎ具合と連絡先に固定します。地番、所有者の氏名や住所、身分の確認書類、既存の図面といった中身は文字の窓口では聞き取らず、資格者が面談で直接確認します。
住宅ローンや決済に間に合わせたい急ぎの依頼を、先に返したいのですが。
期限や希望日に触れた依頼を一覧の先頭に置くので、戻った本人は急ぎから返しやすくなります。ただし「間に合うか」の見通しを返すのは本人で、AIは急ぎだと目立たせるところまでです。
見積もりの金額まで、AIに出させるのですか。
出させません。報酬の見積もりは案件ごとに調査士が判断します。AIが下書きするのは、登記の種類・所在・急ぎ具合・提出先といった条件を聞き返す一次返信までで、送信は人が行います。料金の具体的な話も無料診断でお伝えします。
まとめ
依頼を取りこぼすのは段取りの問題ではなく、本人が現地に出ている時間と、期限つきの依頼が届く時間が重なるからです。表示登記の可否も、申請の中身も、筆界の見解も、報酬の見積もりも、本人の仕事のまま動かさない。変えるのは、その手前で用件と連絡先を預かり、候補日を整え、案内文を返すところだけです。
僕はトータルステーションを据えたことも、表題登記を申請したこともありません。ここに書いた現場の慌ただしさは、登記や測量を仕事にしている方から聞いた話がもとです。ただ、席を外している間に用件だけが積み上がる感覚なら、合同会社9Zを一人で営むなかで知っています。会社を大きくしようと業務委託を何社にも広げた時期、頼む件数が増えるほど連絡と書類が先に膨らみ、想像より事業が伸び悩みました。委託を一社に絞り、人がやるべき作業以外をAIに渡してからは、受注の件数も金額もそのままなのに、手元に残る利益の割合だけが目に見えて厚くなりました。無料診断は15〜30分で、事務所の一日を聞きながら、AIに預ける範囲と本人に残す範囲の境目を一緒に決めます。
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